健康情報クリアガイド

「医師監修」「学会認定」の健康情報、その信頼性をどう見極めるか

Tags: 健康情報, 信頼性, 医師監修, 学会認定, 情報リテラシー

インターネット上で健康に関する情報を検索する際、「医師監修」「学会認定」といった表記を目にすることが多くあります。これらの言葉は、情報が信頼できるものであるかのように見せかけ、多くの人々に安心感を与えます。しかしながら、これらの表記があるからといって、必ずしも情報全体が科学的に正確で、あなたやあなたの家族にとって最善であるとは限りません。

この記事では、「医師監修」や「学会認定」と謳われている健康情報の信頼性を、どのように見極めるべきかについて、具体的なチェックポイントを交えて解説します。情報の真偽を見分け、他者へ正確な情報を伝える一助となれば幸いです。

「監修」「認定」表記が信頼性の根拠と見なされやすい背景

私たちは、医療や健康に関する情報を求める際に、専門家や公的機関の意見を重視する傾向があります。「医師」や「学会」といった権威性のある言葉は、その情報に一定の信憑性を与えるものと捉えられがちです。特に、インターネット上には玉石混交の情報が溢れているため、信頼できる情報源を見分ける手がかりとして、「監修」や「認定」といった表記が有効であると考えるのは自然なことです。

「監修」「認定」表記がある情報に見られる落とし穴

しかし、これらの表記がある情報にも、注意すべき点がいくつか存在します。

「監修」「認定」表記のある情報の信頼性を見極める具体的なチェックポイント

これらの落とし穴を避け、情報の信頼性を適切に判断するために、以下の点をチェックすることをおすすめします。

  1. 監修者・認定機関は明確か?

    • 具体的な氏名、所属機関(病院名や大学名など)、役職、専門分野が明記されているか確認してください。
    • 明記されている場合、その医師や研究者が本当にその分野の専門家であるか、所属機関は実在するかを別途検索して確認するとよいでしょう。公的な医療機関や大学のウェブサイトなどで、その医師のプロフィールを確認できるかどうかが一つの手がかりになります。
    • 「〇〇認定」「△△推薦」といった表記の場合、その「〇〇」や「△△」がどのような団体なのか、信頼性のある学術機関や公的な機関であるかを確認してください。設立目的や活動内容、運営基盤などを調べることで、その信頼性をある程度判断できます。
  2. 監修・認定の範囲と基準は明記されているか?

    • 記事やサイトのどの部分が、どのような基準に基づいて監修・認定されているのかが具体的に説明されているか確認してください。
    • 「本記事は〇〇医師により監修されました」というだけでなく、「本記事の〇〇に関する情報は、最新の研究に基づき〇〇医師により医学的な正確性が確認されています」といった具体的な記述があるかどうかが重要です。
    • 認定マークが付いている場合、そのマークの意味や認定基準について、認定を行っている機関の公式サイトで詳しく説明されているかを確認してください。
  3. 情報源は透明か?

    • 監修や認定の根拠となった研究論文、統計データ、公的機関の発表などが具体的に引用されているか確認してください。信頼できる情報であれば、その元となる情報源が示されていることが多いです。
  4. 情報の公開日や更新日は明記されているか?

    • 情報がいつ公開されたものか、また、最終更新日はいつかが明記されているか確認してください。医療や健康に関する情報は日々更新されるため、古い情報のまま監修されている可能性も考慮する必要があります。
  5. 広告・商業目的との関連はないか?

    • その情報が、特定の製品やサービスの購入に誘導する内容になっていないか、冷静に判断してください。
    • 監修者が、紹介されている製品やサービスを提供する企業と経済的な利害関係(顧問、株主、開発への関与など)がないかどうかも、可能な範囲で確認すると信頼性判断の助けになります。利益相反の開示がされているかどうかもチェックポイントです。
  6. 複数の信頼できる情報源と比較する

    • 最も重要なステップの一つです。その情報が、厚生労働省、国立研究開発法人、大学病院のサイトなど、公的機関や学術機関が発信する情報と一致するかを必ず比較してください。複数の信頼できる情報源で同じ情報が得られるかどうかが、その情報の信頼性を判断する上で非常に強力な指標となります。

誤った「監修」「認定」情報について他者に説明する際のポイント

あなたが情報の真偽を見分けられたとしても、それを周囲の人々(患者さんやご家族など)に分かりやすく伝えることは容易ではありません。特に、「医師監修と書いてあったのに!」と強く信じ込んでいる相手に対しては、感情的に否定するのではなく、冷静かつ客観的な説明が求められます。

まとめ

インターネット上の健康情報における「医師監修」「学会認定」といった表記は、信頼性を判断する上での一つの手がかりにはなり得ますが、それだけで情報の真偽を安易に判断することは危険です。監修者や認定機関の実態、監修・認定の範囲と基準、情報の新しさ、そして商業目的との関連性など、複数のチェックポイントを確認することが重要です。

また、得られた情報の信頼性を他者へ伝える際には、相手の立場に配慮しつつ、具体的な根拠(確認すべき点や比較すべき情報源など)を冷静に示すことが有効です。情報リテラシーを高め、科学的根拠に基づいた正確な情報を見分ける力を身につけることは、自分自身の健康を守るだけでなく、大切な人々を誤った情報から守るためにも非常に重要です。