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健康情報で見かける「最新治療」「未承認治療」:その信頼性を判断する視点

Tags: 健康情報, デマ, 誤情報, 最新医療, 未承認治療, 情報リテラシー

インターネットやSNSで「画期的な最新治療法」「奇跡の未承認治療」といった情報を見かけることがあります。病気や症状に悩む方にとっては、こうした情報に希望を見出すこともあるかもしれません。しかし、これらの情報の中には、科学的な根拠が乏しいものや、誤解を招くものが少なくありません。

信頼性の低い情報に惑わされることは、適切な治療を受ける機会を逃したり、健康被害につながったりするリスクを伴います。ご自身の健康を守るため、また、周囲の方(患者さんやご家族など)から質問を受けた際に適切な対応をするためにも、こうした情報の真偽を見極める視点を持つことが重要です。

ここでは、「最新治療」「未承認治療」に関する健康情報の信頼性を判断するための具体的なチェックポイントと、その情報を他者に伝える際の注意点について解説します。

「最新治療」「未承認治療」情報に潜む誤情報の典型パターン

まず、信頼性に疑問のある「最新治療」や「未承認治療」情報によく見られるパターンを認識しておきましょう。

情報の信頼性を判断するための具体的なチェックポイント

「最新治療」「未承認治療」に関する情報に触れた際は、以下の点を冷静に確認してみましょう。

1. 「最新」の定義を確認する

その情報が指す「最新」とは、具体的にどういう段階の治療法でしょうか。

2. 「未承認」の意味を理解する

「未承認」とは、医薬品医療機器等法(薬機法)に基づき、その有効性や安全性が国によって確認・承認されていない状態を指します。未承認であることには、様々な理由が考えられます。

「未承認だからこそ効く」「既存薬の弊害がない」といった主張を見かけることもありますが、「未承認」であることは、有効性や安全性が公的に保証されていない、ということです。

3. 科学的根拠を確認する

情報の信頼性を判断する上で最も重要なのは、科学的な根拠があるか否かです。

4. 情報源の信頼性を評価する

誰がその情報を発信しているのかは、信頼性を判断する上で重要な要素です。

5. リスクや副作用に関する情報が十分か

効果やメリットばかりが強調され、考えられるリスクや副作用について十分に説明されていない情報には注意が必要です。どのような治療法にもメリットとデメリット、リスクはつきものです。不都合な情報が隠蔽されていないか、冷静に判断してください。

誤った情報を他者に説明する際のポイント

ご家族や知人、患者さんなどから「こんな最新治療があるらしいけど本当?」と尋ねられた際、どのように対応すれば良いでしょうか。単に「それは嘘です」と否定するだけでは、相手の不安や期待を増幅させてしまう可能性があります。

まとめ

インターネット等で見かける「最新治療」「未承認治療」に関する情報は、玉石混淆です。安易に飛びつくのではなく、その情報が「最新」であることの意味、「未承認」であることのリスクを正しく理解し、科学的な根拠や情報源の信頼性といった具体的なチェックポイントに基づいて、冷静に判断することが大切です。

特に、病気の治療法に関する情報は、ご自身の健康や命に関わる重要なものです。気になる情報があった場合は、必ず信頼できる情報源で裏付けを確認するか、専門医に相談するようにしてください。そして、周囲の方が誤った情報に惑わされそうな時には、今回ご紹介したような視点と伝え方を参考に、寄り添いながら適切な情報へと導いてあげてください。情報リテラシーを高めることは、ご自身だけでなく、大切な人の健康を守ることにも繋がります。